本の出版費用を解説!内訳や出版費用が変動する要素も紹介

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「自分の本を出版したい」と考えた時、費用が気になる方は多いのではないでしょうか。自費出版には100万円以上の大きな金額が必要なケースや、電子書籍などで費用を抑えて出版できるケースもあります。

この記事では自費出版の出版にかかる費用や費用の内訳、出版費用が変動する要素などをご紹介します。

本の出版にかかる費用は?

本を作成し流通させるための費用を著者自身が負担することを自費出版といいます。自費出版には編集費用や印刷費用、流通費などが必要です。

本の出版にかかる費用は、本のページ数や体裁、出版方法によって金額は大きく変動します。せっかく出版するのなら後悔しない本にしたい!と思い、書きたい内容を詰め込んだページ数が多くなったり、本のカバーにこだわったりする方もいるでしょう。

しかし場合によっては予算オーバーしてしまうこともあるため、理想の本をつくるためにはどのくらいの費用がかかるのかを事前に調べておくことが大切です。

出版の種類別の費用

著者が出版費用を負担する場合、大きく分けて次の3つの出版方法があります。

  • 自費出版
  • 企業出版
  • 商業出版

それぞれでどのような費用の違いがあるのかを見てみましょう。

自費出版

自費出版は個人が出版費用を全て負担する方法です。書籍の内容や体裁など、すべて著者の希望にそって作成できるほか、流通の方法も自身で決めることができます。

自身で原稿を執筆し、編集や印刷、流通を出版社に依頼するケースだけでなく、原稿の執筆から流通まで一貫して依頼できる出版社もあります。
一般的な約200ページの単行本を想定した場合、出版社によっては150〜200万円ほどで出版が可能です。

原稿作成から依頼する場合は取材費や原稿料なども必要となるため、その分高くなります。
書店流通ではなく電子書籍のみにしたり、紙の書籍でも印刷部数を抑えたりすることで費用を抑えられます。

企業出版

企業出版は企業が自社のブランディングや集客、採用などの目的で出版する方法です。
自費出版と同じく費用は全額著者が負担しますが、個人ではなく、主に「広告宣伝費」などの経費として企業が負担します。

目的にあわせた企画にそった内容の原稿を作成し、ターゲットを意識した装丁や流通経路の選択を行います。

書籍の内容や流通部数などによって変動しますが、企業出版の場合は個人が自費出版を行う場合よりも予算規模が大きく、500〜1,000万円ほど必要です。

商業出版

商業出版は出版社が企画しすべてを負担する方法です。この場合、出版社が売りたい本を企画するため、書籍の内容や流通方法などは出版社側が決定します。著者は費用負担がありませんが、自由度は低い方法です。

さらに企画を持ち込んで商業出版を狙う場合も「この企画で売れるのか」という視点でシビアに見られるため、狭き門となっています。

出版にかかる費用の内訳

本を出版するには多額の費用が必要となりますが、何にどのくらいかかるのかがイメージできない人もいるのではないでしょうか。
出版社によって異なりますが、おおよその相場観を知っておくと実際に本を出版する際に役立ちます。

続いては出版にかかる費用の内訳を紹介します。

原稿料・編集費

原稿の執筆から依頼する場合は、原稿料も必要です。

構想はあるけれど実際に文章にするのが難しい場合や、忙しくて原稿作成ができない場合に、一から原稿の執筆を依頼できます。

原稿作成時には、ライターや編集者が取材を行い、その内容をもとに執筆するのが一般的です。そのため取材の際に著者が書きたい内容を伝える必要があります。

費用は取材回数やページ数(文字数)によって大きく変動し、出版社によっても料金設定が異なります。

また書籍編集のために相談や調整を行う編集者の人件費や、編集に必要な諸費用として編集費が必要です。

デザイン費

デザイン費は書籍の装丁デザインや本文内に掲載する図版・イラスト・写真など、デザインに関わる費用です。

イラスト作成や写真撮影をプロに依頼したり、数多く掲載したりするとその分費用が高くなります。本の装丁デザインを依頼する場合は、カバーや本扉、帯など装丁一式で10〜15万円が一般的です。

DTP費

DTP費は本文のレイアウトを整えるために必要な費用です。DTPとは本文のフォントやフォントサイズ、見出しの配置、図版・写真の配置など、読みやすいレイアウトに整える作業のことです。

費用は書籍のページ数や大きさなどによって変動します。

モノクロで文字が中心の場合は1ページ500〜1,000円ほどが相場です。なおカラーでイラストや図版なども多い場合は金額が高くなります。

校正費

校正費は原稿の表記揺れや誤字脱字などの原稿チェックにかかる費用です。原稿作成後、「てにをは」の間違いや日本語として不自然な表現になっていないかなどのチェックが行われます。

表記揺れでは例えば「こと」と「事」のように表記が統一されていない単語がないかチェックし統一します。

ページ数によって変動するほか、修正点が多い場合に追加費用が発生することもあるため、事前に追加費用の発生の有無を確認しておくとよいでしょう。

印刷・製本費

印刷・製本費は印刷し、本の形へ製本するために必要な費用です。

本のページ数、サイズ、カラー、本文や表紙の用紙、印刷部数などさまざまな要素によって金額は変動します。例えば特殊な用紙を選択したり、フルカラーで印刷したりした場合には費用は高くなります。

また製本時の綴じ方によっても金額が変わる場合もあります。

流通費

流通費は本を流通・販売するために必要な費用です。本は書店やネットショップでの販売の他、電子書籍として販売もできます。

紙の書籍、電子書籍にかかわらず、本を流通させるためにはISBNコード(国際標準図書番号)への登録が必要であり、このコードを取得する際にも費用が発生します。

コード取得の手続きは基本的に出版社が担当するため、手続きにかかる費用が必要となるでしょう。

ただし流通はさせずに家族や友人など、身近な人に配るだけの場合にはISBNコードは不要です。

保管料

本を印刷し流通させる場合には、印刷した本の在庫を保管するための保管料も必要です。

印刷した本を流通させる場合、書店やネットショップの倉庫へ配本されます。配本後一定期間が経って在庫として残っている場合には、本が返本され保管している倉庫へと戻されるのが一般的です。

戻された本は書店やネットショップなどからの注文を受けて配本されることで、再度店頭に並びます。

保管料は発売当初に配本されなかった本や、配本後戻ってきた本を保管するために必要な費用なのです。

保管料は冊数によって変動し、年間5,000〜10,000円程度がかかります。

出版費用が変動する要素は?

ここまで出版にかかる費用の内訳でみてきたように、出版費用は多くの要素で金額が変動します。

続いては特に金額が変動しやすい要素を紹介します。

ページ数

出版費用が変動する要素としてまず挙げられるのが本のページ数です。

ページ数が変動すれば、原稿料、DTP費、印刷・製本費などさまざまな費用が変わります。ページ数が多いほど費用は増えるため、本の内容を吟味して適切なページ数を設定することが大切です。

出版社によってはページ数ではなく文字数で見積もりをとっている場合もあります。

一般的な200ページの単行本の場合は10万文字ほどのため、文字数をもとに見積もりを取る際には参考にしてみてください。

カバーの種類

ソフトカバー(並製)かハードカバー(上製)のどちらを選ぶかによっても、かかる費用は変動します。

一般的にはハードカバーの方が印刷・製本費が高くなります。さらにカバーの用紙の種類によっても変動し、特殊な用紙を選択すればその分高くなるでしょう。

本のサイズ

本のサイズも出版費用が変動する要素の1つです。四六判やA5判、文庫サイズなど、本のサイズはさまざまあり、本の内容にあわせたサイズを選ぶことが大切です。

書店への流通を考えている場合は四六判やA5判サイズが書店に置かれやすいでしょう。写真集やムック本などの場合はA4判などの大きいサイズがおすすめです。

サイズが大きくなるとその分印刷・製本費が高くなる傾向にあるため、予算にあわせて選択しましょう。

流通の方法

流通の方法も出版にかかる費用は変動します。本を流通させる方法は大きく次の2つに分かれます。

  • 書店やネットショップでの紙の書籍の流通
  • 電子書籍としての流通

書店やネットショップで紙の書籍を流通させる場合、印刷・製本費、流通費、保管料が必要です。

また流通させるために、出版社が最低印刷部数を設定している場合もあります。

電子書籍として流通させる場合は印刷・製本費や保管料がかからず、紙の書籍を流通させるよりも大幅に費用を抑えられます。

出版社の選び方は?

企業規模にかかわらず自費出版や企業出版を手がけている出版社は多く存在しています。

出版社によってサービス内容や料金設定が異なるため、どこへ依頼するかは複数の企業を比較して選ぶことをおすすめします。

費用面以外で比較する際に注目したいポイントは次のとおりです。

  • 企画内容や本の体裁などの自由度
  • 本作成時のサポート内容
  • 流通経路や販売力
  • 出版社のネームバリュー

出版社によって、本を出版するまでのサポート内容や作成時の決まり事などが異なります。

例えば本のサイズやページ数などの体裁が決まった形にあわせて作成する場合や、原稿の修正回数に上限がある場合もあります。

さらに出版社のネームバリューや販売力によって、実際に売れる数が変わる可能性も考えられます。こうした費用以外の面も考慮した上で、出版社を検討しましょう。

本の出版で後悔しないために

今回は本の出版にかかる費用やその内訳について解説しました。

本の出版には決して安くはない費用がかかりますが、さまざまな要素で費用は変動します。

出版社によっても料金設定が異なるため、1社だけでなく複数の企業への相談がおすすめです。

せっかく本を作るなら自身が作りたい本を実現できるように、しっかりと検討しましょう。