組版は読みやすい本をつくるために重要!組版で意識したいポイントもご紹介します

組版 組版・DTP

本をつくる上で欠かせない作業である「組版」

しかしあまり馴染みのない言葉で、実際にどういうものなのか疑問だという方もいらっしゃるでしょう。

組版は本を読みやすくするために欠かせないものであり、デザインとも深く関係している作業です。

今回は組版とは一体どのようなものなのかを解説します。

組版とは

組版は本をつくる上で欠かせない作業であり、言葉だけなら聞いたことがあっても意味はよく知らないという方もいらっしゃるでしょう。

まずは組版とは何かを解説します。

活字を組み合わせて印刷用の型をつくる

見開きの洋書
組版とは印刷工程の一つであり、文字や図版などを組み合わせレイアウトをつくる作業のことです。

もともと活版印刷の用語であり、言葉の通り活字を組み合わせて印刷用の紙面となる版を作っていたことに由来しています。

DTPとの違い

組版とは別に、印刷物の紙面をつくる作業としてDTPという言葉があります。

DTPはデスクトップパブリッシングの略であり、パソコンを用いて印刷用データを作成することを指しています。

かつては手作業で行っていた組版を、現在ではパソコンで行うことが主流になりました。

どちらも印刷物の紙面をつくる作業ではありますが、DTPの場合はデザインも含めて一括して行うため効率的にデータを作成できます

組版が重要な理由

印刷用の紙面をつくる組版は、本をつくる作業の中でも重要度の高い作業です。

ではなぜ組版が重要なのか、その理由を解説します。

文章をより読みやすくする

本を読む人
組版が本づくりにおいて重要な理由の一つは、組版によって文章をより読みやすくすることです。

組版では文字の大きさやフォントだけでなく、文字同士の間隔や画像の配置場所などもルールを決めて紙面をつくっていきます。

フォントや画像との組み合わせ方によっては読みづらくなってしまうため、それを組版によってきれいに整えることで、読みやすい本になるのです。

書籍の雰囲気を左右する

組版は、書籍の雰囲気を左右する作業でもあります。

書籍の雰囲気を形作るものは、装丁などのデザインだけでなく、本文や見出しのフォントの種類や文字の大きさも大きく関係しています。

明朝体ばかりの書籍であれば硬派な印象になり、丸ゴシック系のフォントが中心であれば柔らかな印象を感じるでしょう。

こうしたフォントが読者に与える印象や、本の内容との親和性を見極めて行うため、組版は書籍の雰囲気を左右するものといえるのです。

組版はルールを決めて行おう

組版は本づくりの中で非常に重要な役割を担っているものです。

なんとなくの雰囲気で行っていると統一感のない、読みづらさを感じてしまう書籍になってしまいます。

そうならないために、組版を行う上で重要なのがルールを決めることです。

ルールをもとに組版されている書籍は、本全体の統一感が生まれ読みやすくなります

組版を行う前にどんな雰囲気の本にしたいのかを決め、それをもとにルールを考えてから行いましょう。

組版で意識したいポイント

組版ではルールを決めることが大切とはいえ、具体的にどのようなルールが重要なのでしょうか。

続いて、組版を行う上で特に意識したいポイントをご紹介します。

フォント

開いた本
まず組版で意識したいポイントがフォントの種類です。

本文、見出し、タイトル…それぞれのフォントが本の雰囲気を大きく左右します。

例えば専門書や小説などであればカッチリとした印象を与える明朝体が使用されていることが多く、絵本などであれば柔らかな印象のある丸いフォントがよく使用されています。

ハウツー本や趣味に関する本であれば丸ゴシック・角ゴシックを見出しと本文で使い分けてメリハリをつける場合もあるでしょう。

このように本の内容とフォントのもつ印象を合わせることで統一感のある、読みやすい本になります。

本文や見出しの文字の大きさ

本文や見出しの文字の大きさも、組版を行う際に意識したいポイントの一つです。

フォントに統一感を持たせても、本文や見出しの文字の大きさがちぐはぐでは読みづらい本になってしまいます。

特に見出しは、大見出し・中見出し・小見出しといった見出しの種類に合わせて統一しましょう。

見出しは情報のレベルを分ける役割があり、見出しの種類によって情報量が異なります。

小見出しのはずが中見出しや大見出しと同じデザインでは、その違いが分かりにくくなってしまうのです。

そこで、見出しのデザインにも差をつけることで視覚的にそのレベルの違いを把握しやすくなります。

また、文字の大きさは対象となる読者がどのような人かも加味して考えることが重要です。

年配の方や小さなお子様が対象であれば大きめの文字サイズにすると読みやすくなります。

行間・字間

フォントの種類や文字の大きさ以外にも、行間・字間も意識したいポイントです。

行間は本文の一行ごとの間隔や、本文と見出しの間隔などのことで、この行間が詰まっていたり逆に開きすぎていると全体のバランスが悪くなってしまいます。

そして、字間は一文字ずつの文字の間隔のことで、こちらも詰まりすぎ、開きすぎになっていると読みにくくなってしまうものです。

フォントのサイズや種類によって適切な行間・字間は変わるため、ルールを決めておくことでバランスの良い読みやすい紙面をつくることができます。

自動組版の活用と注意点

パソコンで組版を行うことが一般的になり、文章や画像を流し込むだけで細かな調整を省略できる自動組版も普及しています。

続いて自動組版はどのような活用ができるのか、そのメリットと自動組版を行う際の注意点をご紹介します。

テンプレート化されたものを効率的に作成できる

自動組版を活用する最大のメリットは、組版をテンプレート化し効率的に行えることです。

本来組版は一から紙面をつくるため、フォントや見出し、画像の配置場所などを都度組み直す必要がありました。

しかし、自動組版ではそうした設定をテンプレートにしておき、そこに当てはまるデータを流し込むだけで完成に近い形にできるのです。

自動組版はAdobe InDesignQuarkXPressなどの組版ソフトで活用できます。

決まったテンプレートの本やカタログ、チラシなどをつくる際には細かな設定を省略できるため、短時間で効率的に組版できます。

テンプレートでは対応できない場合もある

テンプレートを活用して効率的に組版できることが自動組版のメリットではありますが、一方で、そのテンプレートでは対応できない場合もあります。

テンプレートで対応できないとなれば、自動組版が行えるソフトを使用していても一から組み直すのと手間が変わりません。

自動組版であればパパッと組版ができるというわけではないということも押さえておきましょう。

読みやすい本にするなら丁寧な組版は欠かせない

本と花
今回は本づくりにおける組版とはいったいどのようなものなのかを解説しました。

読みやすい本に仕上げるために欠かせない組版は、知れば知るほど奥の深い作業です。

そしてより多くの読者に本を読んでもらうためにも、視覚的な読みやすさはとても重要な要素でもあります。

本をつくりたいと考えている方は、ぜひ組版にも注目してみてください!